鉄塊が足に当たったはなし

先日のことです。

穏やかな昼下り、両親が実家の庭に靴やら服やらを並べていました。
唐突にガレージセールでもはじめたか、あるいはNASAへメッセージを送ったついでに「ユリイカ」と叫ぶのかと思っていたら、どうやら大規模な断捨離活動中とのこと。

見れば、宴会場でも対応できそうな量の揃いの陶磁器や、ウチってダスキンだっけ?と見まごうばかりの大量の洗剤も。
生前の祖母もなにかと溜め込む人だったので、その名残りかもしれません。

老婆心ながら忠告いたしますと、ある程度の年月を経た洗剤、薬剤類は風雨に曝されずとも、その真価を発揮することは二度とありません。
カビキラーなどは刺激臭こそ健在ながら、ちっともカビをキルしてはくれないのです。
※それでも酸性の薬剤と混ぜてはイケマセン

 

そんななか、ひときわ目を惹く鉄塊が。
祖父が生前使っていた重さ約40kgの耐火用金庫。
ルパン三世でお馴染みのダイヤル式で、「右35 → 左27 →右41」と大きな文字で書かれた紙が天板に貼り付けてあります。

 

しばし感傷に浸りかけたボクの背後から、ふいに父親の声がしました。

「クルマに積むのを手伝ってくれ」

その時はまさかあんなことになるとは知らず、安易なふたつ返事とともに金庫に手をかけました。
足元は短いソックスにクロックスのままで・・・。

ここからは図でご説明いたします。
ペイントを使いほぼ一筆書きで描いたため多少荒れておりますが、かゆい うま(※)にはなってないはずなのでご安心ください。
※バイオハザードヴィレッジも楽しみデスね♪

 

金庫はこんなかんじ。

 

なにしろ重いので、扉を開けて少しでも持ちやすくしてみました。

 

ボクが底面と上部を支えているのに対し、父親が持っているのは扉の部分。

そう・・・・・・

扉です。

 

ここで気付くべきだったのです。
40kgもある金庫の扉を支えているのは、頼りない蝶番だけだったことに…。

 

いよいよクルマに乗せようかという段になって、その瞬間はやってきました。

くるぶし付近に激痛が走り、マジで足首イッタかとおもった。

 

しばらく動けず、砂漠のシャベルカナヘビみたいな格好で治療を待っていました。
事情を知らない人には、気が触れたか取り憑かれたか何かの儀式のように見えたことでしょう。
ちなみに本家はコチラ。


参考
シャベルカナヘビの灼熱のダンスGetty Images

でも、ここでひとつの考えが浮かびました。

金庫がヒットする直前、進行方向に足を動かしたのでは?

そういえば骨折したときに感じる骨内部から湧き上がるような痛みがない気がします。
あのズキズキ疼くいや〜なカンジのやつ。
ホントのところは骨折したことがないのでよく分かりませんが、妹が高校生の頃に階段から滑り落ちて足にヒビが入ったときヤバくて声出せんわと言ってたので、なんとなくそんな気がします。

陸奥圓明流(むつえんめいりゅう)に力の方向に合わせて跳び、受けた攻撃の衝撃を逃がす「浮身」という技がありました。
かつて月刊マガジンを熱心に読んでいたため、とっさに身体が浮身を繰り出し反応できたのかもしれません。

まさに書は人を助く、であります。

皮がめくれたとこに貼ったキズパワーパッドがかゆくなってきました。
はっ・・・
まさか・・・かゆ・・・。

 

 

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